微少量の2液塗布に悩んでいた頃の自分に、ν(ニュー)シリーズを教えたい

車載電子部品メーカーで22年、生産技術を担当していた三宅です。
いまは独立して、中小製造業の設備導入の相談に乗っています。
会社員時代、センサー部品に2液エポキシを1滴ずつ置く工程で、硬化不良と材料ロスに悩まされました。
最近、ナカリキッドコントロールの微少量用2液型ディスペンサ「ν(ニュー)シリーズ」の仕様を読み、あの頃に知っていればと思う点がありました。
当時の悩みと合わせて紹介します。
微少量の2液塗布で困っていたこと
当時の工程で頭を抱えていたのは、次の3つです。
- 主剤と硬化剤の比率が少しずれるだけで、硬化しきらない製品が出る
- ミキサーの中に残った材料を、毎回捨てることになる
- 可使時間があるので、段取り替えで止まると材料がむだになる
岐阜県産業技術総合センターの研究報告でも、2液型接着剤は塗布前に決まった比率で均一に混ぜる必要があり、ミキサー中に残った接着剤は使えずに廃棄されると書かれています。
同じ報告では、ミキサーのエレメントを標準の3分の1に縮めて混合不足の状態をつくると、引張せん断接着強さが下がったという試験結果も出ています。
詳しくは二液型接着剤の少量塗布時における混合比を安定化するデバイスの開発(第3報)をご覧ください。
スタティックミキサーは、駆動部のない静止型の混合器です。
ノリタケのスタティックミキサーとは?によると、流体はエレメントを1つ通るたびに2分割されます。
エレメント数を減らせば残る材料は減りますが、混ざり方も足りなくなります。
同センターの続報(第1報)も、接着面積が小さい製品の現場ではミキサー内に残る接着剤の廃棄が課題だとしています。
ν(ニュー)シリーズの仕様で目に留まったところ
公式ページに載っている主な仕様を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 吐出量範囲 | 0.036~5ml/shot(理論値) |
| 適応比率範囲 | 100:100~100:50(樹脂仕様による) |
| 使用可能粘度 | 1~300,000mPa・s |
| 計量方式 | 容積計量(プランジャ式) |
| 駆動方式 | サーボモータ駆動 |
| 原料タンク | 330mlカートリッジ用、2.5kg容器用から選択 |
私が注目したのは次の点です。
- 計量方式はプランジャポンプによる容積計量で、メーカー自身が微少量吐出用のフラッグシップモデルと位置づけている
- 高粘度の液でもエア抜きがしやすいポンプ構造になっている
- 内部圧力を一定にして吐出量を安定させる機能がある(ニューⅡのみ)
- アルミ製の軽いケースで、手持ちでも操作できる
気泡が残ったままの吐出には当時さんざん泣かされたので、エア抜きのしやすさは見逃せない点です。
当時の自分に伝えたい選び方
1つ目は、自社材料の配合比を確認することです。
νの適応比率範囲は100:100から100:50までなので、硬化剤がもっと少ない材料には向きません。
同社の「ミューⅠ」は100:6まで、「マイクロショットディスペンサMD」は100:3.5までに対応しています。
2つ目は、実際の材料で試すことです。
吐出量は理論値と明記されているので、同社のテストルームで自社の樹脂がどこまで安定するかを確かめておくと安心です。
ほかの機種も含めて比べたい方は、ナカリキッドコントロールの2液型ディスペンサー(塗布装置)一覧から見ていくと全体像がつかめます。
まとめ
微少量の2液塗布では、比率のずれ、ミキサー内の残量、可使時間の3つが同時に効いてきます。
ν(ニュー)シリーズは、プランジャ式の容積計量とエア抜きしやすいポンプ構造で、この悩みに応えようとしている機種です。
配合比が100:50より大きく開く材料には向かないので、まず自社材料の仕様をそろえ、テストルームで答え合わせをしてみてください。
最終更新日 2026年10月13日 by rcagee



