千葉県市川市中山。古くから寺院が多いこの地域は、寺が所有する広大な土地を、借地という形で地域に提供されて住宅地が形成されているという背景がある。H邸も施主夫婦の親が二棟つなぎで居住していた古い家屋の一棟を立て替える計画として始まった。
敷地は傾斜地で、下方には生命力あふれる見事な竹林が広がる。「この竹林を上から見下ろすだけでは惜しい」そんな発想から、崖地を利用した地下付き三層構造を提案した。数社の設計提案の中で、地下付きプランを提案したのは当社のみだったようで、施主の求める「個性的でこだわりの詰まった住まいへの志向」と合致する発想ということで、RCエイジとのプロジェクトがスタートした。
ファサードは一見すると、この建物のこだわり抜いた内部の意匠を感じさせないシンプルな表情をしているが、二層と三層でツートンに塗り分けられた壁面は、内部のインテリア全般のコーディネートにも通じる基調色。
エントランスドアを開けると、一旦、閉じられたような細長い空間を通過することになる。このリビングダイニングに繋がるL字通路が、〈閉じた所から開く〉〈暗から明〉という演出となり、リビングの明るい空間と外部の緑鮮やかな竹林を際立たせる。リビングの床はIOC社の複合フローリングで、チーク材のうづくり仕上を使用。ナチュラルな質感と使い込んだような色合いが心地いい。今回、この床の色調を中心に、壁の色や建具の色を調整している。
リビングから二階へかけての吹き抜け、大面積開口サッシから竹林に向かう大きくはりだしたウッドデッキと合わせてこの家の大きな見所。サッシの枠を黒としたことで開口にどっしりとした安定感、重厚感を印象づける。ウッドデッキには、施主のアイディアで床面にマリンランプを取り付け、夜になると竹林をやわらかく照らし出し、幻想的な陰影を作り出す。
オリジナルであつらえたキッチン。その側面とダイニングの棚は、コンクリートで造作、天井や壁の打ち放しと、素材・色調で統一感を出した。コンクリートが室内に露出すると「冷たい感じがする」として避ける方もいるが棚やテーブルなどの造作と組み合わせる事で、クールなテクスチャーとして、インテリア全体のエッジを際立たせる効果があり、コンクリート素材をインテリアに利用するという新たな可能性を示すことができた。
二階は開放的なゾーニングによる子供部屋とホール。床フローリングはトラッドパーケット、間仕切りは、ざっくりとした石タイル貼りとし、他のフロアーとは異質な空間を醸し出している。
クローゼットの材質や形状、取手、照明、スイッチボックスなど...、全てを紹介するには紙面が足りないほど細部にわたりこだわり抜いたH邸。ロケーションの良さに甘える事無く、住み手とともに、建築のエッセンスを細部にわたり詳細に検討して積み上げたという満足感がある。
あらためて、自由設計の住宅は、施主との二人三脚で作り上げものだということが実感できた。
外部仕上げ
<外壁>コンクリート打放し、一部ジョリパット塗りの上塗装
<屋上>モクシー入りコンクリート防水
<サッシ>YKKap エピソード
<玄関ドア>スチール断熱ドア op塗装
内部仕上げ
<床>B1F:フローリング、トラットパーケット ダブル貼り(サンワカンパニー)
1F:フローリング、チークホワイトブラッシュド(IOC) 一部 石、タンブラウン本磨き(アドヴァン)
2F:フローリング トラットパーケット シングル貼り(サンワカンパニー)
<壁>EP塗装仕上げ
<天井>EP塗装仕上げ
住宅設備
<キッチン>製作オーダーキッチン L=2400 (リネアタラーラ)
<バス>在来工法 FRP トップコート仕上げ、浴槽のみ PLANO RX (スピリチュアルモード)
<トイレ>ネオレスト(TOTO)
<洗面>1F:プラネット(サンワカンパニー)、B1F:サティス洗西 (INAX)
その他
<バルコニー>ガーデンデッキ(サンワカンパニー)
<トップライト>サンジェルGトップライト(新日本フェザーコア)